第1回 原文修正できない場合のAI翻訳活用 [2022.08]
海外での事業展開では現地の法令文書を理解し、内容に応じて対処することが重要です。法改正があった場合など、AI翻訳を活用すれば必要な時にすぐに翻訳し、いち早くその内容を把握できます。
ただ、法令文書は、翻訳元を修正することができませんので、原文のわかりにくい表現が誤訳を生む可能性もありますし、医療分野等その分野固有の用語も使用され、専門用語が適切に翻訳されなければ内容を正しく理解することは困難です。専門性の高い文章の翻訳に汎用的なAI翻訳エンジンを使用すると、その汎用性が原因で適切に対処できないまま翻訳されることもあり、汎用型AI翻訳の活用は慎重にする必要があります。
発出、更新頻度も多い中国医療法令文書の中日翻訳を題材に、AI翻訳活用の検証について発表いたします。AI翻訳に備わっている用語辞書機能や、教師データの学習機能を活用することで、上記の問題を解決することができるのか検証を行いました。詳細は、TCシンポジウムの発表資料をご覧ください。
中国医療法令文書の翻訳作業から見たAI翻訳の翻訳精度向上の検証
第2回 法令文書にも存在する「表記ゆれ」 [2022.09]
これまで300以上の中国医療系法令をAI翻訳システムで日本語化してきた中で見られる、翻訳時に注意する必要があることのひとつは、法令文書でも専門用語の表記の仕方や省略の仕方などにばらつきがあるという点です。
例えば、測定分野の用語で、日本語の「定量下限」を表す中国語が「测定下限」「定量限」「定量下限」とバラバラに使われている例があります。どちらも正しいのですが、同時に存在していたりしますので、これらに対処する必要があります。ちなみに中国語の「测量下限」は日本語の「測定下限」と訳しています。似たような例は他にもあって、きちんと対応しないと、日本語で読んだときに誤解のもとになりかねないので、きちんと対応していきます。
2022年10月のセッションでは、用語辞書機能や学習機能といったAI翻訳システムがもつ機能を使って、いかに翻訳効率を上げながら品質を維持するかなどの検証結果について発表させていただきました。 詳細は、TCシンポジウムの発表資料をご覧ください。
中国医療法令文書の翻訳作業から見たAI翻訳の翻訳精度向上の検証