自社特化型AI翻訳を構築する

自社特化型のAI翻訳を構築するポイントを検討していきます。

目次

第1回 汎用型AI翻訳の限界とは? [2022.04]

 クラウド上の無料で利用可能な多くのAI翻訳は、広く一般的な文章が翻訳できるよう広範囲に膨大なAI教師データを学び、サービス提供しており、これを汎用型AI翻訳と呼ぶことにします。一方、目的を絞り込み専門分野に特化させたAI教師データを学んだものを特化型AI翻訳と呼ぶことにします。
 多種多様な言語で記述された一般的な文章を翻訳し、内容を知りたい目的で利用するには、汎用型AI翻訳で充分かもしれません。しかし、専門性のある文章等、用途や目的が絞られた文章においては、汎用型AI翻訳が学んだ広範囲な教師データがネガティブに作用し、文脈に相応しい表現に翻訳できないことがあります。これが汎用型AI翻訳の限界です。
 自社の製品やサービス情報を利用ユーザーに正しく伝えるためには、特化型AI翻訳の構築が必要です。自社の用語や言い回し等、自社データを使用したAI教師データで学習した特化型AI翻訳を構築すれば、ポストエディットの必要性も段階的に低減します。自社のデータのみを蓄積し、翻訳対象物に必要のないデータが紛れ込まないAI教師データから繰り返し学ぶことで、自社が求める文脈に則した翻訳に近づけていくことができます。記述内容を知りたい時には汎用型AI翻訳を活用し、伝えたい時には特化型AI翻訳を活用しましょう。
 自社の顧客が求める情報を、必要な時に、必要な情報だけを、理解できる言語で入手できるようになれば、顧客体験価値の向上に繋がります。自社の製品、サービスの情報に特化させたAI教師データを学んだ特化型AI翻訳エンジンを構築することが重要です。

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第2回 自社特化型AI翻訳の構築で狙う成果とは [2022.05]

自社データを使用して学習したAI翻訳の構築で狙う成果をを3点挙げます。
1.翻訳工程の短縮化
2.用語管理のシステム化
3.翻訳メモリ(TM)とAI翻訳の統合運用化

1.翻訳工程の短縮化
 必要な時に、必要な分だけ翻訳できるので、内部で翻訳作業を完結できるようになり、翻訳作業時間を短縮できます。短縮できた時間は、執筆作業に多くの時間を割り当てたり、記述内容の正確性確認のためのチェック作業時間に割けるようになります。アジャイル型の製品開発にも対応しやすくなります。翻訳精度は、チェック作業で発生した修正箇所を繰り返してAI学習することで改善していけるので、属人性の軽減化もできます。

2.用語管理のシステム化
 Excel等の別表管理を無くし、AI翻訳の用語辞書機能による用語適用をシステム化します。商品名、部品名、操作名など一般用語で翻訳できない用語を辞書登録することで、適切な用語適用を自動化します。

3.翻訳メモリ(TM)とAI翻訳の統合運用
 TMの管理をAI翻訳管理と一体化し、TMのメンテナンス作業を合理化します。翻訳対象に適切なTMと、そこからAI学習させたAI翻訳の、管理負荷を軽減します。

関連部署共通の基盤としての展開も視野に
 自社特化型AI翻訳エンジンをオンプレミス環境に設置し、マニュアルと同等の品質が維持されたAI翻訳を関連部署とも共有します。自社の用語や言い回しが適用された自社特化型のAI翻訳の活用は、誤解の原因を減らし、社内コミュニケーションの円滑化を推進します。

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第3回 AI教師データには何を選択するか [2022.06]

 AI翻訳の結果は、何を学んだかに依存しますので、これまで自社が公開してきたドキュメントをAI教師データに活用することをオススメします。公開済みドキュメントは、制作工程で発生した未使用データが紛れることがなく、公開する前に内容確認工程を経た一定の品質が保たれたデータと言えます。自社のドキュメントですので、製品・サポート情報を説明するための業界固有の専門用語、自社が使用する用語、製品名、操作名といった固有名詞や、自社の言い回しが含まれ、これらが確認済みです。また、ドキュメントの公開時期も明確ですので、教師データとしての適切性の確認も容易です。
 既存のTranslation Memoryの活用には注意が必要です。翻訳工程で発生した未使用データが含まれている可能性があり、これらが翻訳精度に影響を及ぼす恐れがあります。対訳データ形式になっているので利用しやすい面がありますが、Translation Memoryに含まれている内容については精査が必要です。

[関連記事] 自社のAI翻訳を構築するには、Translation Memory(TM)が必要ですか?

 自社特化型AI翻訳を構築するためのAI教師データは、公開済みドキュメントをベースにして、対象言語の訳文がペアになった対訳データをご活用ください。

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自社特化型のAI翻訳は、一つ構築すれば十分ですか? [2022.07]

 利用目的に沿う専門性に特化したAI翻訳であれば意図した翻訳を得やすくなるので、専門性に特化したAI翻訳は複数構築し、活用することをオススメします。自分が伝えたい内容が、相手が希望する言語でも適切に表現されることで、円滑なコミュニケーションを実現します。
 コミュニケーションにおいて、営業部門やサポート部門、財務部門などで交わされる会話は共通する部分もありますが、それぞれの専門分野の固有な用語も存在します。使用する用語が同じでも分野が異なれば、用語が示す意味が異なることもあります。使用する用語が適切に言語変換できることは重要です。
 汎用型AI翻訳エンジンは、一般的な話題に広く対応できることが特長ですが、専門性の高い領域では間違いの元になりかねません。そこで、目的に合わせて専門性に特化させることで、間違いを防ぎます。一つのエンジンだけで対応する必要はなく、目的にあわせて、複数のエンジンから適切なAI翻訳エンジンを選択し使用することで、円滑なコミュニケーションを実現できます。

一つの自社特化型AI翻訳ではなく(左)、目的にあわせて特化させた複数のAI翻訳を使用(右)

(終わり- 自社特化型のAI翻訳は、一つ構築すれば十分ですか? ~ 自社特化型AI翻訳を構築する 第4回 ~)

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