自社に機械翻訳(MT)導入の検討を進めるために運用コストの試算は重要です。しかし、インターネットに拡散する様々な情報を確認すると、それはとても大変なことのように感じるかもしれません。でも、MTソフトウェアの運用コストを理解することは、それほどほど難しいことではありません。自社でMTソフトウェアを活用することで、ワークフローの利便性、明確性、使いやすさが向上します。この記事で、MTソフトウェアの運用コストに影響を与える要因を明らかにします。
MT運用コストに影響を及ぼす6つのコスト要素
翻訳量
これはかなり重要なポイントです。自社で1か月に実行すると想定される翻訳量は、ソフトウェアの全体的なコストに大きく影響します。この数量を想定することは、選択したプラットフォームに投資する前に行うことが重要です。
翻訳の量を決めるための主な考慮事項を挙げます。
・組織の規模はどれくらいですか?
・海外を含む拠点数はいくつありますか?
・MTソフトウェアを使用して多数のクライアントとコミュニケーションする予定はありますか?
・自社固有用語のような専門用語が多い項目についてはどうですか?
・拠点間や部門間の社内コミュニケーションはどうですか?
MTソフトウェアは、複数の海外拠点にまたがるオフィスを持つ企業にとって非常に有益です。MTソフトウェアの使用量を過小評価しないようにすることが重要です。社内インフラとして、これまで全社で活用導入したことがない組織では、そのソフトウェアがどのくらいの頻度で利用されるのかを明確にすることが難しいためです。部署間、拠点間、クライアントとのコミュニケーション等で、1か月で行う翻訳の量は思ったより多くなるでしょう。そこで重要なのは、適用範囲を拡大しても、同時にコスト効率を維持できるプラットフォームを選択することです。
構築済み用語集のみか、カスタム用語集を構築できるか
この要素は、MTソフトウェアによって、大きな違いが発生するポイントです。MTソフトウェアによっては、事前に構築済みの用語集やエンジンにしかアクセスできないことがあります。一般的な用語を使用して作成した用語集では、自社固有の用語には対応できません。分野によってはその専門分野に応じた業界固有の用語を使用して翻訳を行えますが、事前に構築された業界固有の用語集を追加購入する必要があるかもしれません。
しかし、適切なMTソフトウェアでは、自社の要求に合致するカスタムの用語集を作成できます。よって、自社固有の用語や専門用語を使用する専門分野に特化する企業で、全社にわたって一貫性を確保できます。翻訳エンジンと用語集をカスタマイズできる利点は、非常に重要です。
多くの企業にとって、翻訳品質よりもコンプライアンス違反のリスクが高い場合があります。MTソフトウェアが機密情報を伝えるために必要な用語を正確に翻訳していない場合、自社が脆弱な立場に置かれる可能性があります。カスタムされた用語集やエンジンの構築は、コストがかかりますがコンプライアンス観点においても非常に重要です。
対応する翻訳対象ファイルの形式は十分か
テキスト翻訳は最も一般的であり、最も頻繁に遭遇する形式ですが、日常業務においては、それ以外のフォーマットでやりとりをするケースも多々あります。リアルタイムのメッセージやチャットボットの翻訳は必要ですか?テキスト読み上げ機能は必要ですか?これらの機能が必要な場合は、コストが増えることが予想されます。
テキスト翻訳は複数のフォーマットとドキュメントタイプで行われ、全体的な価格に影響を与える可能性を忘れないでください。PDFやPowerPointを翻訳しようとすると、MTソフトウェアによっては料金が高くなる場合があります。
リアルタイム翻訳の必要性
MTソフトウェアで活用できる貴重な機能の1つです。文書全体が翻訳されるのを待つのではなく、すぐに結果が必要になる場合があります。 音声からテキストへの変換やカスタマーサービスのオンラインサービスでは、リアルタイム翻訳が必要になる場合があります。 この利点を実現するMTソフトウェアを見つけることは、組織でのコミュニケーションを促進し、それを即座に実施する上で大きな効果を発揮します。
セキュリティレベル
自社の機密情報や、顧客との機密保持契約に基づく情報をを扱う場合、活用するテクノロジースタック全体にわたって高いレベルのセキュリティが必要です。コンプライアンスに遵守した事業運営を行う上でもセキュリティレベルの維持は必要不可欠な事項です。
一般的な無料で利用できるMTソフトウェアなどを使用して機密情報を翻訳している場合は、顧客との機密ほじ契約に違反している可能性があります。利用しようとするMTソフトウェアが、機密情報を扱うために必要なセキュリティレベルがあるかどうかの確認が重要です。
すべてのデータを安全に保ち、コンプライアンスを維持するには、セキュリティレベルの高いMTソフトウェアが必要です。これはトータルコストに織り込まれますが、判断に余地のない要素です。
必要ユーザー数
必要なユーザー数がコストに影響します。利用対象者とするチームリーダー、エグゼクティブ、および翻訳業務を行う担当者にログインアカウントを提供する必要があります。多くのMTプラットフォームでは、追加する各ユーザー数に応じてMTソフトウェアの運用コストが増加します。MTソフトウェアにアクセスできる適切な人数の管理は重要です。
SYSTRANの価格モデルの考え方
MTソフトウェアのコストに影響を及ぼす6つの要因を確認できました。これらを利用することで、トータルコストを形成する個々の要素ごとに、どれくらいのコストがかかるのかを把握できるようになります。
SYSTRANでは、MTソフトウェアのコストを構成するものを明確にすることで、導入前の検討に手間をかけずに導入検討が進められるようにしています。以下にSYSTRANでの基本的な価格モデルをご紹介します。
システム構築
システムのセットアップに関するコストは、コスト算出するための最初のステップとなります。自社専用サーバーにデータを保存する方法として、クラウド型か、オンプレミス型を選択し、必要とする対応言語ペア数を確定します。これには、カスタム用語集機能やカスタム翻訳メモリ機能が含まれます。Microsoftオフィス製品との連携ツールなどオプションを追加できます。
翻訳量
ほとんどのMTソフトウェアでは、翻訳プロセスのコストは文字ごとに課金されます。翻訳量に応じてコストが変動するため、全体の運用コストを予め試算することは困難です。
SYSTRANでは無制限に翻訳できるので、翻訳コストを気にすることなく、必要な時に、必要な量を何度でも翻訳できます。用語辞書機能や翻訳メモリ機能を装備し、登録数に制限もありません。サブスクリプション型の契約の場合でも、翻訳量の変動による月々の請求額が変動することはなく、サブスクリプション期間において定額料金ですので、予め試算することができます。
信頼できるMT利用環境を実現する
SYSTRANのニューラル機械翻訳ソフトウェアは、お客様が保有する、これまでに翻訳してきた対訳データをAI学習することで、お客様固有の翻訳ソフトウェアを構築できます。SYSTRANのこれまでの歴史の中で培われてきた強力な用語辞書機能と共に、お客様固有の用語も正確に翻訳できる高精度なMTプラットフォームを構築できます。
構築されたMTプラットフォームは、ITシステムとして、セキュリティレベルが維持された環境で、翻訳コストを気にすることなく、必要なときに、必要な分を何度でも利用できるツールとして、業務の効率向上を実現します。
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(参考)特集:オンプレミスAI翻訳環境の構築
【1】見落としがちなセキュリティ要件
【2】自社のIT要件を満たす、セキュアな運用環境の選択
【3】複数部門での活用と日常業務での利用
【4】導入にかかる概算費用と構築ステップ
【米国発】 セキュアなオンプレミスのAI翻訳を活用する5つの利点
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