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ツールを活用して日本語ライティングを楽にする

ツールを活用して
日本語ライティングを楽にする

若山 陽介
株式会社 情報システムエンジニアリング

ツールを活用して日本語ライティングを楽にする

[2022.6] 「おります」を「います」に修正指摘するには – 過剰な敬語の指摘2

おりますという表現がでてきた場合に、いますに修正するように指摘したいという問合せをいただきましたので、それを題材に進めていきます。

「なる」型表現を検出するシリーズ (参考):「なる型」表現とは

■おります→います
「おります」は、「います」の丁重語「おる」に丁寧語「ます」を続けた表現 です。二重の丁重語をあらため、丁重語一つだけの軽めの丁寧語にしたいという要望です。
例文を考えて、形態素アナライザーで解析してみました。

「おります」の「おり」が一段動詞として認識されました。
別の例文も考えられましたので、形態素アナライザーで解析してみました。

こちらの場合の「おります」の「お」が補助動詞として認識されました。
こちらの「おります」は「(~して)いる」の丁寧な表現です。

■どこまで指摘させるか
どこまでの表記が語幹部分の品詞として認識されたかに応じて、登録先辞書が変わります。一段動詞「おります」を指摘、修正できるようにするには、下記のように辞書ユーティリティで登録すれば済みます。

補助動詞「おります」も指摘、修正できるようにするには、下記のようにルールを作成し、ルール辞書に登録すれば済みます。

一段動詞「おります」の場合は、「おり」で1品詞として認識されたので辞書ユーティリティへの登録だけで済みました。しかし、補助動詞「おります」の場合は、「お」までしか1品詞で認識されなかったので、複数の品詞を組み合わせて指摘できるルールを作成し、ルール辞書に登録する必要がありました。

■Just Right!でトライ
例文を校正してみます。

ルール辞書で「補助動詞」として指定したにもかかわらず、一段動詞「おります」の部分も指摘されてしまいました。
原因はわかりませんが、どちらの置換候補を選んでも結果は同じになりますので、今回はここまでとします。

(終わり – 「おります」を「います」に修正指摘するには – 過剰な敬語を指摘する 2)

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<Just Right!活用コラムについて>

 翻訳しやすい日本語ライティングを楽に進めるために、誤訳の元になりそうな表現を、ツールでチェックして必要に応じて修正します。日本語スタイルガイド第3版(一般財団法人 テクニカルコミュニケーター協会 編著)には、多言語展開を行う時の翻訳しやすい日本語表現が解説されています。このコラムではスタイルガイドを参考に、「Just Right!」の校正辞書やルール辞書に、登録していく過程を公開していきます。ツールを活用してチェック作業の負荷を低減しながら、翻訳しやすい日本語ライティングを進め、AI翻訳の活用にお役立てください。

 テクニカルコミュニケーター協会のWebサイトでは、2010年3月から「日本語スタイルガイド第3版対応ATOK・Just Right!データ集」が公開されています。ただし、このデータ集には日本語スタイルガイドの「第5編 翻訳しやすい日本語の要点」の内容が含まれていませんので、校正辞書やルール辞書を作成するための参考にしていただけましたら幸いです。

*Just Right! は、株式会社ジャストシステムの製品です。
*「Just Right!」は、株式会社ジャストシステムの登録商標です。

自分が書いた日本文をJust Right!で簡単にチェック

 ジャストシステムの日本語校正ツールJust Right!を使えば、日本文の誤字脱字や表記ゆれを簡単にチェックできます。漢字の誤変換や読点の二度打ちなど、意図していないのにそうなっていた箇所を、うっかり気づけずにしてしまうことが防げます。

 Just Right!には、多くの校正設定項目があり、目的に合わせてチェックしたい項目を選択できます。そして、なんと言っても強力な機能が校正辞書やルール辞書です。自社で使用する用語や間違えてはいけない用語の登録、また、表現ルールを登録することで、作成した日本文に誤りがないかチェックできます。

 校正辞書やルール辞書の作成は、誰でもできるようにはなっていますが、なかなか思った通りにチェックできずに苦労された方も多いかと思います。このコラムでサンプルを交えて紹介しますので、参考になりましたら幸いです。

 辞書作成のご相談も承りますので、お気軽にお問い合わせください。

若山 陽介
(株)情報システムエンジニアリング

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記事アーカイブス

これまで掲載した記事をまとめます。

Just Right!活用コラム:「なる」型表現を検出する

「なる」型表現を検出するシリーズ (参考):「なる型」表現とは

第1回「なる」型表現を検出する1 – 校正辞書の設定[2022.2]

日本語スタイルガイド第3版 208ページ 「なる」型の表現 を参照します。

「なる」型表現とは、他動詞の目的語を主語にした自動詞的表現である。本来であれば、「する」を使って能動的に表現すべきだが、行為者を前面に押し出さない受動的な表現を好む控えめ文化の日本語では、この「なる」型で表現されることがある。
「する」型表現と「なる」型表現の使い方の違いは次のとおりである。

「する」型表現 私は運転速度を時速50キロメートルにする。
「なる」型表現 運転速度が時速50キロメートルになる。

しかし、「なる」型表現は、上記の文例のように行為者が曖昧になり、表現としても弱くなるので、実用文には向いていない。(中略)「する」型表現にすることで行為の主体が見えてくるので、翻訳しやすくなる。また必要に応じて明快な受身形にすることで翻訳しやすくなる。

「日本語スタイルガイド 第3版(一般財団法人 テクニカルコミュニケーター協会 編著) 第5編 翻訳しやすい日本語の要点」より引用

この例文の「なる」型表現の箇所がJust Right!の校正用ユーザー辞書に登録して検出できるか確認します。まず、Just Right!に付属している形態素アナライザーを利用して、登録する語句の語幹、品詞を正しく把握します。

形態素アナライザーで語幹や品詞を確認

形態素アナライザーで確認

「入力文」欄に例文をペーストし、「単語に分解」ボタンをクリックすると、分解された結果が表示されます。結果の「な」の部分をクリックすると「な」の単語情報がさらに表示されます。「~になる」の「な」を「ラ行五段」の動詞として登録すれば、語句の範囲が正しく認識され、検出できそうなことが確認できました。

校正用ユーザー辞書への登録

形態素アナライザーで確認できた語幹や品詞を、校正用辞書ユーティリティを使用してユーザー辞書に登録します。

指摘レベルは仮に「1:警告」としました。検出された場合にオレンジ色でハイライト表示されます。指摘理由には、検出されたあとの処理等ヒント情報的なコメントを入力しました。

Just Right!でトライ

先ほどの辞書を指定した校正設定を作成し、先ほどの例文の他、いくつか派生した例文を作成し校正してみます。

語幹「な」の語尾が活用していても適切に検出されていることが確認できました。設定した指摘理由も校正結果にヒントとして表示されました。

課題

ただし、かな表記の「な」だけを登録したため、敬語表現「お召しになる」など正しい表記の箇所についても指摘されています。動詞をユーザー辞書に登録して指摘させるだけでは、指摘し過ぎることになります。この現象を「過指摘」と呼びます。
「過指摘」を回避したり、さらに実用的な検出ができるようにするためには、ユーザー辞書への登録だけでなく、前後に組み合わされる表記と組み合わせて検出できるようにするルール辞書の作成が必要となります。


ルール辞書については次回以降の連載で少しずつ触れていきます。

(「なる」型表現を検出する第1回 終わり)

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第2回 – ルール辞書による過指摘回避【基本編】[2022.3]

ルール辞書の作成することで、「過指摘」を回避できます。ルール辞書でどのように実現すればよいか、段階を追って解説します。

■「なる」型表現を検出するルール辞書を作成
まず、校正用ルール辞書で検出できるようにした「なる」型表現を、ルール辞書でも検出できるようにしてみます。
ルール辞書に変換する前のルール定義を下記のようなテキストファイルとして作成します。1行目はソースファイルとしてのお約束で、最後の3行部分が「なる」型表現を検出する定義です。検出したときに表示させるコメントもユーザー辞書と同じにしてみました。

この定義ファイル「rule.src.txt」をルール辞書変換ツールで辞書形式に変換します。

「入力ファイル」欄でルール定義ファイルを指定し、「出力ファイル」欄でルール辞書ファイルの書き出し先およびルール辞書の名前を指定してから、「ルール辞書を作成」ボタンをクリックすると、エラーがなければルール辞書が作成されます。

■ルール辞書で検出するように校正設定を編集
この作成された辞書を使用するためには、校正設定を編集してルール辞書を指定する必要があります。
少なくとも「用語基準」タブの「辞書登録された指摘」および「ルールチェック」タブの「ルール辞書によるチェックを行います」の2つのチェックを付けたうえで、ルール辞書ファイルを指定します。

■Just Right!でトライ
第1回連載の例文を校正してみます。

語幹「な」の語尾の活用形部分はハイライトされませんが、検出されていることが確認できました。設定した指摘理由も校正結果にヒントとして表示されました。

■組合せで指定
次回は「この表記は正しいです」というルール定義を追加していくことで、正しい表記は指摘されないようにしていきます。下記の敬語表現の正しい表記が指摘されないようにしてみます。
・お召しになる
・おいでになる
・お見えになる
・お越しになる
・ご覧になる
・お聞きになる
・お思いになる
・お会いになる

(終わり:「なる」型表現を検出する2 – ルール辞書による過指摘回避【基本編】)

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第3回 – ルール辞書による過指摘回避【応用編】[2022.4]

正しい表記は指摘しないルール辞書を作成することで、「過指摘」を回避できます。ルール辞書でどのように実現すればよいか、段階を追って解説します。

■「なる」型表現を検出しつつ、正しい表記は指摘しないルール辞書を作成
「なる」型を検出する定義に続けて、新たに「お召しに」で始まる「なる」型は正しい表記なので検出しなくてよいです、という定義を追記します。
赤枠で囲った3行の最後の行を「1」とすることで正解ルールであると定義しています。

この定義ファイル「rule.src.txt」を再度ルール辞書変換ツールで辞書形式に変換します。

JustRight!でトライ
例文を校正してみます。

「お召しになる」は指摘されなくなりました。
その他の尊敬語についても、同じように正しい表記を定義すれば指摘されなくなりますが、メンテナンス性がよくないため、もう少し汎用的なルールにしてみます。

グループ定義を使用してルール辞書を作成する
「お召しになる、おいでになる、お見えになる、お越しになる、ご覧になる、お聞きになる、お思いになる、お会いになる」について形態素アナライザーで確認してみます。

一部を除いて「接尾語」+「尊敬語の語幹部分」+「なる」型であることが分かります。この「尊敬語の語幹部分」をグループ定義として別ファイルで定義します。
「尊敬語の語幹部分」として「召し」「いで」「見え」「超し」「覧」「聞き」「思い」「会い」のいずれの表記がきても検出できるように下記のように定義します。

あわせて、「尊敬語の語幹部分」を「@尊敬語語幹」と指定することで「尊敬語の語幹部分」の表記が変わっても検出できるように汎用的なルールにしました。

ルール辞書変換ツールで辞書形式に変換する際には、新たに作成したグループ定義のファイルも指定します。

JustRight!で再トライ
例文を校正してみます。

「おいで」と「ご覧」の表記を除いて「接尾語」+「尊敬語の語幹部分」+「なる」型の表記は指摘されなくなりました。
この「おいで」と「ご覧」は、Just Right!標準の辞書に名詞として登録されており、名詞としてセットで認識されるため、今回のルール定義だけでは指摘を回避できませんでした。ただし、例外対応として、正しい表記としての定義を追加することで指摘しないようにできます。

辞書を生成し直して例文を校正してみます。

「接尾語」+「尊敬語の語幹部分」+「なる」型の表記は指摘されなくなりました。

(終わり:「なる」型表現を検出する3 – ルール辞書による過指摘回避【応用編】)

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第4回 過剰な敬語の指摘[2022.5]

(参考)「なる型」表現とは

「なる」型表現を検出する延長線上として、過度な敬語を指摘して適切な表現に置換する定義を作ってみます。

過剰な敬語とは
「説得できる文章・表現200の鉄則(第4版)」には、いくつか鉄則が掲載されています。その中に「敬語はほどほどに使いましょう」という項目があります。「敬語は文末に1箇所程度と簡素化したい」とありますので、一文内に敬語が複数出現するのは過剰と言えます。
下記例文をもとに、指摘して置換できるようにしてみます。

品詞を確認する
例文について形態素アナライザーで確認してみます。

青字下線が付与されない部分は語幹以外の活用部分と言えますが、ルール辞書用の定義では活用形は指定できないため、固定文字列で指定する必要があります。


上記2つの文例を一つの定義で検出できるように汎用的なルールにしました。

文末が「~た」や「~る」でも関係なく指摘、置換ができるように、それ以外の部分がきちんと指摘範囲となるようにしています。「:?」は「っ」が出現してもしなくても指摘されるようにするための指定です(Just Right!ではオプションカテゴリと呼びます)。

Just Right!でトライ
例文を校正してみます。

文末の「た」や「る」以外がハイライトされているため、置換候補としてでている「書かれ」を選択するだけで、どちらの文例も矢印右側のように適切な表現に置き換わります。

(終わり-過剰な敬語の指摘)

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