MENU

ストックされた情報資産を活かして、必要な時に、必要な情報を

ストックされた情報資産を活かして、
必要な時に、必要な情報を

ストックされた情報資産を活かして、必要な時に、必要な情報を

企業内コミュニケーションのキーワードは「情報資産」と「メタデータ」

【Web Designing 2022年6月号連動企画】二人の対談の続編と事例をご案内します。

美奈子・ブレッドスミス
クロスメディア・コミュニケーションズ(株)
代表取締役

黒田 聡
(株)情報システムエンジニアリング
代表取締役社長

美奈子・ブレッドスミス(以下、ブレッドスミス): 黒田さんは、情報の仕組み化やエンジニアリングを長年事業として行っていらっしゃいますが、昨今の企業の情報発信やコンテンツ活用については、どのようにお考えでしょうか。

黒田 聡(以下、黒田): 大きな変革期にあります。社会全体としても企業内部でも、利用者を圧倒する情報過多になっています。この結果、利用者の一つひとつの情報に対する興味関心がものすごく低くなっています。情報が稀少だった時代には、難解な情報でも読み説く労を惜しまないことが少なくありませんでした。しかし、今は、難しい、文字が多い、馴染みがない、興味の対象でないなどの基準で読む前から選別します。膨大な情報に押しつぶされまいとする自衛行為でもありますね。
 20年前の企業社会では公開された情報は貴重でした。限られた人々が、多くの人手(デザイン会社、印刷会社、出版社、取次ぎ会社、運送会社など)を介してつくり、つたえていたからです。しかも、実態を確認し、言語化し、校閲する工程が堅持され、結果として目的に対する情報の品質がきちんと管理されていました。
 しかし、パソコンで簡単に文書や写真や動画を作れるようになって以来、大きな矛盾が企業の情報発信やコンテンツ活用を襲っています。だれもが容易に、言語化したり映像化したり、自ら発信出来るようになったことは情報発信側にとって極めて便利な状況です。しかし、情報利用者の時間は有限です。溢れかえる情報に埋没して、一つひとつの情報が顧みられなくなる傾向が顕著になりました。こうなると、情報発信側は「正確に、適切に」よりも「読んでもらえそうな表現」に頼るようになります。「読んでもらえそうな表現」は「読ませたいように読ませる表現」と紙一重です。一線を越えた情報が溢れかえる世の中になり、情報に対する信頼性が損なわれています。

ブレッドスミス: 企業の広報やソーシャルメディア担当者向けのセミナーでお話させていただくことがあるのですが、その際、質疑応答の中で「何を投稿したらいいのかわからない」というご相談をしばしばいただきます。それに対して「皆さんが普段やっていらっしゃることを投稿してください」と回答すると、多くの方が「安心した」とおっしゃいます。一部の企業のソーシャルメディア活用には「コンテンツのためのコンテンツ」によって、注目やエンゲージメントを獲得しようとするケースも散見されますので、そのような事例に影響を受けているのではないかと危惧しています。

黒田: 実態と無関係だったり、校閲が不確かな情報が溢れるようになっていますから、文字はもちろんのこと、かつては真実であることを証明していた写真、最近では動画ですら、真実であることを必ずしも担保しないことを誰もが知っています。利用者は初めから疑いの目でみているといっても過言ではないでしょう。もはや、利用者は自分自身に直接宛てられた情報、自分自身が納得いく状況で信頼している存在から直接入手した情報しか信用しません。
 このような社会規範の変化にもかかわらず、企業側では同じ情報を少しでも多くの方に届けることを是とする規範に囚われたまま、作為的と見抜かれる情報をつくり、発信し続けています。高度に進歩したICT技術を自らの業務効率向上のために使い続け、情報過多に拍車をかけています。直裁に表現すれば、誰からも読まれず期待もされていない情報を、技術と知恵を駆使して効率よく作り続けているわけです。
 個人が自己責任で直接情報を発信し、それらの情報を自己責任で個人として利用するプラットフォームであるソーシャルメディアの利用急増は、企業が抱え込んだ矛盾を証明しています。

ブレッドスミス: ソーシャルメディア空間のユーザーとコンテンツを接点としてコミュニケーションを行うことを否定しているわけではありませんが、このような手法は経営戦略との整合性を取ることも難しく、上級レベルのコミュニケーションだと考えています。企業広報の基本は透明性や信頼性確保のための情報開示や情報訴求です。当然、その情報は信頼に値するもの、つまり実態を伴う企業活動が前提となります。ただ、その企業活動については、製品発表などのニュースリリースとして訴求するレベルの事象に限らず、プロジェクトの一端や製品開発の工程、そこに関わる社員の考えなども記録することで、実態を伴う情報でありながら、ソーシャルメディア等の投稿頻度が高い手法にも活用できるコンテンツを蓄積することができると考えています。

黒田: 企業が実践すべき事柄はシンプルです。情報をつくることから届けることに力点を移すのです。まず、自らが行っていること、社会における貢献や結果を純粋に記録しストックすることが重要です。次に、このストック情報をライブラリーとして管理する業務、キュレーションとして届ける業務を自ら担う事です。最後に、情報を発信するときは、誰が誰に対して何のためにいつ伝えるのかを明らかにして、必要とする相手に自らレコメンドすることです。
 手本にすべきはかつて栄えたマスメディアではなく、ソーシャルメディアなのです。正し、皆が共用しているソーシャルメディア空間の利用を必ずしも意味しません。企業であれば、自ら情報を蓄積し、自らの意思で公開したり配信したり場を確保することもできるでしょう。オウンドメディアと呼ばれています。このオウンドメディアをソーシャルメディア空間に繋げる道もあります。
 情報を求められた時に、常に情報を新たに作り出そうとするから作為的と受けとめられます。既にある情報から該当する情報を拾い出し、これに簡潔な紹介文を添えるアプローチがお奨めです。この紹介文だけを情報利用者に直接宛てた情報として作れば読み手に受け入れやすくなります。すべての情報都度作り直している現状よりも業務のスリム化も果たせます。
 書店で見かける店員作成のポップ案内、出版社が行う表紙や帯の差し替え、スーパーなどで行われている商品陳列場所の変更は、既にある資産を、その時々に適した対象に訴求するレコメンドです。これを企業内外で、ストック情報に対して行うことです。

事例

 事務手続きの領域で、本記事で紹介した技術の活用例があります。すでに蓄積されている手続き事例を、担当者は事前に知らなくてもICT技術を用いた機構が探し出し、必要な場面で、必要な情報だけを「切り取って」提供する仕組みです。もちろん、原典となる情報を確認する必要があるときにはこれを参照する手段は提供しています。

成長産業育成のための研究開発支援事業
プロジェクト名:医療及び介護コミュニケーション支援のためのAI活用基盤構築及び教師データ

ISEは、国際患者対応窓口業務の効率化のため、上記事業にworktransform®技術を提供しています。

関連情報

お問合せ

*worktransform®は株式会社 情報システムエンジニアリングの登録商標です。
企画運営:株式会社 情報システムエンジニアリング

お問合せ

お問い合わせはこちらで承ります。お気軽にお問い合わせください。

セールスに関してご返信はいたしませんので、あらかじめご了承ください。

個人情報の取り扱いについて

Copyright © 2022 Information System Engineering Inc. All rights reserved.