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コミュニケーションを加速させる機械翻訳、潜むリスクと対応策

コミュニケーションを加速させる機械翻訳、
潜むリスクと対応策

コミュニケーションを加速させる機械翻訳、潜むリスクと対応策

必要とされる人だけに、「理解可能な言語」でコミュニケーションするために

【Web Designing 2022年10⽉号 連動企画】お二人の対談の続編をご案内します

*対談記事の本編は、こちらから参照できます。(Web Designingオンラインサイトに掲載)

シストランジャパン合同会社 日本代表 江上聡

江上 聡
シストランジャパン合同会社
日本代表

(株)情報システムエンジニアリング代表取締役社長 黒田聡

黒田 聡
(株)情報システムエンジニアリング
代表取締役社長

■機密情報を理解可能な言語に変換するときの大前提 – 医療現場のケース
黒田 聡(以下、黒田):Web Designing 8月号記事(*1)では、国籍の異なる患者さんとのコミュニケーションについてご紹介しましたが、ここでの重要なポイントは2つあります。患者さんの個人情報をどう守るのかと言う点と、伝えたい内容がきちんと伝えられるかという点です。
 個人の情報となる患者情報は、必要とする人だけに伝える必要がありますし、コミュニケーションで入手した情報の管理は完全にコントロールできることが重要です。まず、患者さんの情報を守るセキュリティが確保できる環境であることが大前提であり、その環境があってこそ、理解可能な言語変換の話題を展開することができるようになります。

*1:遠距離・非対面・異文化間の課題は「4つのRight」で解決できる(Web Designing 8月号)

■経済安全保障の観点も加わった情報セキュリティ – 機密情報の流出を防ぐためにできること
黒田:経済安全保障の観点からも技術流出に対する懸念が高まっています。自社製品の開発に関わる内部に留めておくべき情報、取引企業とのやりとりや法務関係など外的要因が絡む情報の流出が、企業が有する優位性や安全保障に与える影響は大きく、これを防止する必要があります。社外秘の機密情報を翻訳する場合の重要な点は何ですか。

江上 聡(以下、江上):自社の従業員がうっかり、情報漏洩のリスクがあるクラウドサービスを利用しなくても済む利用環境を整えることです。翻訳前と翻訳後の文章の消去など、自社の都合で実行したい時にいつでもできるように、セキュリティを自社でコントロールできることが重要です。クラウド事業者の中でのデータの消去などを、利用者が完全にコントロールすることは難しい点を考慮すると、クラウドサービスの活用には慎重にならざるを得ません(*2)。
 シストランでは、お客様の求めるセキュリティ要件に応えられるよう、オンプレミス環境でのサービス利用が基本です。お客様設備での環境構築の他、シストランに運用委託することも可能ですが、お客様専有空間による運用となります(*3)。これまで、世界各国の政府関係機関にもサービス利用いただいている実績もあり、セキュリティが求められる領域でこそ、シストランの強みが活かせると考えております。

*2:AI翻訳の導入で見落としてはいけないポイント(AI翻訳活用コラム)
*3:自社のIT要件を満たす、セキュアな運用環境の選択(AI翻訳活用コラム)

■適切な用語の適用ができるか
黒田:必要なセキュリティを確保できれば、伝えたい内容がきちんと伝えられるかという議論を始めることができますね。医療の現場では、日本の医療制度に則した用語の使用が大前提です。国ごとに異なることがある用語の適用では、どのようなアプローチが可能ですか。

江上:シストランには、強力な辞書機能がありますので、各国の制度に応じた辞書を作成することで適切に翻訳できるようになります。特にカタカナ混じりの用語の場合、全く意図していない翻訳結果になっている場合がありますので、辞書機能を利用して、日本語表記に対して、ターゲット言語での表記を辞書登録することで対応できます(*4)。
 「イーグル」というゴルフ用語も直訳すると「鷲」となってしまうように、分野が異なれば意味する内容も変わります。一般的な文章の翻訳に汎用型のAI翻訳エンジンが使用できても、専門分野に特化した文章の翻訳には、適切な用語辞書が適用できるAI翻訳エンジンをご活用ください。

*4:カタカナ混じりの自社固有の用語は正しく翻訳できてますか?(AI翻訳活用コラム)

■意図しないAI翻訳結果の改善プロセス
黒田:ツールの業務活用では、改善プロセスによって作業の省力化を進められることが業務の効率向上に必要です。意図しない翻訳結果を改善していくことはできますか。

江上:AI翻訳エンジンは、対訳データをAI学習の学習データに活用することで、翻訳精度を改善できます。自社の翻訳資産があれば、それらをAI翻訳の学習データとして使用することで、自社に特化したAI翻訳エンジンを構築できます。
 シストランでは、追加学習を重ねて行えますので、意図しない翻訳結果が得られた箇所は、修正した翻訳結果を用いて追加学習し、意図した翻訳結果が得られるように改善していきます。SYSTRAN Marketplaceで、専門性に特化したAI翻訳エンジンを公開しているので、目的に沿うAI翻訳エンジンがあれば、これをベースに自社の対訳データで追加学習し、自社特化型のAI翻訳エンジンの構築もできます。

参考記事:自社特化型AI翻訳を構築する(AI翻訳活用コラム)

ご案内:特化型AI翻訳の専門エンジン構築サービス

 ISEでは、SYSTRANのモデル構築トレーナーとして、SYSTRANが提供しているAI翻訳の専門エンジン流通プラットフォームSYSTRAN Marketplaceに、分野特化型AI翻訳の専門エンジンを公開しております。
https://www.ise.co.jp/ja/product/translation-engine/

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情報過多時代の企業におけるコミュニケーションの理想と現実(Web Designing掲載記事)

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