原文が有する曖昧さを解消する

 今度こそはわかりやすい文が書けたとひとりで悦に入っていると、校正者から思わぬ指摘が入ったり、(悪くすると、ドキュメントを発行した後に)お客様相談窓口を通してお客様からライティングについての苦情が入ったりするものです。校正者からの指摘やお客様からの苦情をよく確認してみると、自分が書いた論理的でわかりやすいはずの文に曖昧なところが残っていたのだと、妙に感心させられたりします。

 皆さんも、そういう経験をされたことがあるのではないでしょうか。このようなときに役立つのが機械翻訳です。(人間の)校正者が社内の関係者であれば、その製品やシステムが生まれた背景や、その新機能が付加されたコンテキストを知っていたりするので、自分と同じようなミスをする可能性があります。しかし、機械翻訳であれば、翻訳時にそういった背景やコンテキストを反映することはできませんので、原文に曖昧なところがあれば、その曖昧さを「反映した」翻訳をしてくれるはずです。ということで、翻訳結果を見れば、自分が書いた文の曖昧さを確認することができます。

今回は、単語どうしの関係における曖昧さを確認し、その改善策を検討します。

目次

係り受けの曖昧さをなくす [2021.12]

係り受けが曖昧なので、どの語を修飾しているのかわからないということはよくあります。たとえば、以下のようなケースです。
原文:近未来的なABC Corporationのスーパーカー
原文を見ると、「近未来的な」という形容詞が、「ABC Corporation」と「スーパーカー」のどちらを修飾しているのかわかりません。

「近未来的な」はどちらを修飾?

まずは、AI翻訳してみます。
AI翻訳:A futuristic ABC Corporation supercar
結果として、原文の曖昧さが翻訳文にも残ってしまいました。
そこで、原文に正しい係り受けを明示します。

「近未来的な」が「ABC Corporation」にかかる場合:
原文:近未来的なABC Corporationが開発したスーパーカー
AI翻訳:A supercar developed by the futuristic ABC Corporation

「近未来的な」が「スーパーカー」にかかる場合:
原文:ABC Corporationの近未来的なスーパーカー
AI翻訳:ABC Corporation’s futuristic supercar

今度は、両方とも、適切に翻訳できました。

2つ目の文の翻訳は、アポストロフィをつけて所有格にしています。通常、アポストロフィをつけて所有格にできるのは、人か擬人化できる名詞です。この場合は会社ですが、法人(=juristic person)というぐらいですから擬人化できるので問題ありません。もちろん、以下のような前置詞のofを使った翻訳にしてくれると嬉しいのですが。
The futuristic supercar of ABC Corporation
それでは、擬人化できないケースでは、AI翻訳は前置詞のofを使った翻訳にしてくれるのでしょうか。この問題は次の項でお話しします。

格助詞の 「の」を多用して名詞をつなげない [2021.12]

 名詞を重ねての係り受けと言えば、格助詞の「の」を使って文をつなげていくという、あまり好ましくない習慣があります。格助詞の「の」には単に所有を表すだけではなく、場所や状態や属性などいくつもの意味がある(AAMT Journal No. 48, Nov., 2010)そうですので、その「の」を使って文をつなげていくのは無謀だと言えます。たとえば、「中村の本」といった場合、「中村が所有している本」というだけではなく、「中村が執筆した本」や「中村についていろいろと説明している本」などといった意味が考えられます。
 まず、格助詞の「の」の代表的な機能である「所有」を表すだけの、簡単な例を見てみましょう。
原文:緑色のプロジェクターのアーム
これも上記の例と同様に「緑色の」という形容詞が、「プロジェクター」と「アーム」のどちらを修飾しているのかわかりません。

「緑色の」はどちらを修飾?

これをAI翻訳してみます。
AI翻訳:Green projector arm
結果として、これも原文の曖昧さが翻訳文にも残ってしまいました。そこで、上記同様に、原文で正しい係り受けを明示します。
「プロジェクター」が「緑色」の場合:
原文:緑色のプロジェクターに付いているアーム
AI翻訳:Arm attached to the green projector
「アーム」が「緑色」の場合:
原文:プロジェクターの緑色のアーム
AI翻訳:Projector green arm

なんとか適切に翻訳することができました。欲を言うなら、最後の例は、
Green arm of the projector
と翻訳してほしかったですね。


そこで、もう少しつながりを複雑にすることで、擬人化できないケースで前置詞ofを使って翻訳できるかどうかを確認してみます。以下の例は、4つの単語による係り受けの例です。
原文:自動車の後部座席のエアコンのUIの形状
これをAI翻訳すると、アポストロフィによる所有格ではなく、以下のように前置詞ofを使った所有格を表す適切な翻訳が出力されました。
AI翻訳:UI shape of the air conditioner in the back seat of a car
2つ目の「の」は、所有ではなく場所として表現されています。また、最後の「の」は属性を表しています。それぞれが適切に翻訳されています。このケースではうまく翻訳できましたが、通常、4語以上の複合語の場合は、係り受けを明示できるように書き換えるべきでしょう。以下の改善例をご覧ください。
原文:自動車の後部座席に取り付けてあるエアコンのUIの形状
AI翻訳:The shape of the UI of the air conditioner attached to the back seat of the car

最後に
 いろいろと原文を考えていたら、以下のような複合語を考えつきました。どうでしょうか。
原文:社内人材育成事業推進本部長
AI翻訳:General Manager of In-house Human Resources Development Business Promotion Headquarters
どうやら、適切に翻訳できているようです。いずれにしても、4語以上の複合語は使用しないほうがいいです。複合語は3語以内とすべきでしょう。
 海外のサイトを見ていたら、こんなものもありましたよ。
Antidisestablishmentarianism 国教廃止条例反対論
Disestablishmentarianism
Establishmentarianism
Disestablishmentarian
Establishmentarian
Disestablishment
Establishment
Disestablish
Establish

格助詞の「で」を多用しない(1) – 【場所/手段/材料】編 [2022.1]

●格助詞の「で」を多用しない【場所】

「所格」=「場所」というぐらいですから、これは問題ないですよね。「所格」も次の「具格」も名詞について、名詞とほかの文節との関係を示します(格助詞)。
原文:村境で堺の人に声をかけられました。
AI翻訳:I was approached by a Sakai person at the village border.

「で」は問題無かったのですが、先回ご説明した「の」の多様さに惑わされてしまいました。格助詞の「の」は便利なのでいろいろなところでつい使ってしまいがちです。しかし、このような「の」の「説明を省略して丸め込んでしまう(?)ような」使い方は控えなければいけません。
原文:村境で堺から来た人に声をかけられました。
AI翻訳:I was approached by a person from Sakai at the village border.

あるいは、「堺」が地元ということであれば、以下のように変更します。
原文:村境で地元の人に声をかけられました。
AI翻訳:I was approached by a local at the village border.

“a local”で地元の人という意味になりますが、心配なようでしたら、“a local person”とすると誤解がなくなりますね。

AI翻訳が場所の「で」だと勘違いしそうな例を、意地悪く考えてみました。
原文:今日は、名古屋メシでいいですか。
AI翻訳:Is it okay to go to Nagoya Meshi today?

ちょっと無理がある感が否めないのですが、AI翻訳は「名古屋メシ」を場所だと勘違いしてくれました。「名古屋メシ」とは、グルメ激戦区である名古屋市の名物料理です。味噌カツやあんかけスパ、味噌煮込みうどん、きしめん、小倉トーストなど挙げればきりがありません(ちなみに、私はあんかけスパ派です)。
ところで、上記の文で使われている「で」は、一見、助詞のようですが、そうではありません。断定の助動詞「だ」の連用形です(「だ」は終止形です)。そうですね、「今日は名古屋メシだ」というかたちの連用形変化ですよね。ちょっと注意が必要です。
このような場合は、以下のように言葉を補う必要があります。AI翻訳を活用するためには、原文で言葉を省略してしまうのではなく、だれにでも理解できるわかりやすい文にする必要があります。
原文:今日の夕食は、名古屋料理の中から選んでいいですか。
AI翻訳:Can I choose from Nagoya cuisine for today’s dinner?

●格助詞の「で」を多用しない【手段】

これも「具格」=「道具」というぐらいですから、問題ないですよね。と、思っていたら、早速つまづきました。
原文:数値はノギスで計測する。
AI翻訳:Numerical values are measured in nogis.

使用したAI翻訳MTは「ノギス*」がわかりませんでした。技術用語とはいっても割と一般的なもののはずなのですが、「ノギス」が辞書登録されていないAI翻訳もあようです。注意が必要です。
原文:数値はノギスを使って計測する。
AI翻訳:Numerical values are measured using calipers.

  • ノギス:この名称は和製洋語です。和製洋語は、英語以外の用語を日本語化したものです。和製英語と区別するためにつくられた用語であり、その代表的なものが「ノギス」です。「ノギス」は、諸説あるようですが、古くはポルトガルの数学者の名前に由来して、オランダ語の“Nonius”(ノニウス)になり、そこから日本語化されたと言われています。「ノギス」は英語では“caliper”と言います。

●格助詞の「で」を多用しない【材料】

これも「具格」と同様の考え方で、格助詞の「で」は、「材料」=「~を使って」という意味にもなります。
原文:カバーは強い鋼でつくられています。
AI翻訳:The cover is made of strong steel.

ここは正しく翻訳できるようです。

格助詞の「で」を多用しない(2) – 【時間、理由・原因、状態】編 [2022.2]

今回は、時間、理由・原因と、状態について考えます。

格助詞の「で」を多用しない – 【時間】

「で」を使って時間の区切りを表します。この使い方も一般的ですが、使い方によっては曖昧になってしまいます。
原文:その催しは午後で終わりになります。
AI翻訳:The event ends in the afternoon.

「午後」という表現は曖昧です。「午後」というのは、いつからいつまでなのでしょうか。このあたり、個人差がありそうです。「午前」であれば「正午」までだと考えればよいのでしょうが、「午後」というと、自信がなくなります。正確さを信条とする気象庁では以下のように細かく分類されています。「午後」というと、お昼の12時から夜中の24時までだそうです。たしかに、そのとおりなのでしょうが、「今日の午後は何か予定がありますか」というと、まさか夜の9時以降だとはだれも思いません。そのほか、「未明」や「夕方」、「夜のはじめ頃」といったところは、皆さん方の感覚からは少し外れているのではないでしょうか。

参考:1日の時間細分図(府県天気予報の場合)
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/saibun.html

適切に翻訳するためには、時間を正確に表現する必要があります。
原文:その催しは夜になる前に終わります。
AI翻訳:The event ends before night.

時間を明示すると、誤解なく、適切に表現できます。
原文:その催しは夕方の6時ごろに終わります。
AI翻訳:The event ends around 6 o’clock in the evening.

格助詞の「で」を多用しない – 【理由・原因】

述語となる文節について、主節の理由/原因を表します(接続助詞)。理由や原因を表す「で」は少し無理のある表現だといえます。このような使い方は控えるべきです。
原文:そのPCはウイルスで使用できない。
翻訳:The PC cannot be used by a virus.

状況を具体的に説明する必要があります。
原文:そのPCはウイルスに感染しているので使用できない。
AI翻訳:The PC is infected with a virus and cannot be used.

格助詞の「で」を多用しない – 【状態】

述語となる文節について、主節の状態を表します(接続助詞)。
「で」は、状態も表します。状態の働きを表すのは接続助詞の「で」です。
原文:朝食は取らないで来ました。 =取らない状態で
AI翻訳:I did not have breakfast.

翻訳文からは、「ここに(来ました)」という意味が抜けています。原文の「取らないで来た」ということを伝えるために、原文に「ここに」を付け加えます。
原文:朝食は取らないで、ここに来ました。
AI翻訳:I came here without having breakfast.

原文:ドレスコード:正装でお越しください。 =正装の状態で
AI翻訳:Dress code: Please come in full dress.

原文:寒さと緊張で、大学受験に失敗してしまいました。=寒さと緊張の状態で
AI翻訳:I failed to take the university entrance exam because of the cold and nervousness.

翻訳文では、受験しなかったと誤解されてしまいます。そこで、「合格しなかった」ことを明示します。
原文:寒さと緊張のため、入学試験に合格できませんでした。
AI翻訳:I could not pass the entrance exam because of the cold and tension.

原文:ビジネスで海外に出張する人も、帰国後は14日間の自宅待機となります。
AI翻訳:Even those who travel abroad for business will have to wait at home for 14 days after returning to Japan.

この場合の「で」は接続助詞ではありませんね。また、翻訳文の文頭が「Even those who…」とおかしくなったのは、「も」を使ったので、MTが「強調」だと解釈してしまったからです。この「で」と「も」はどういう助詞なのでしょうか。形態素解析のツールであるMeCabを使って品詞の役割を調べてみましょう。

MeCabの実行結果

MeCabとは:日本文を品詞ごとに書き分けることができます。英語(屈折語)などのように単語間にスペースが入る言語や、中国語(孤立語)のようにそれぞれの言葉が互いに独立している言語と異なり、日本文は、品詞が互いにくっついている膠着語です。MeCabを使うことで、日本文を品詞ごとに確認することができます。

MeCabによると、「で」は格助詞であり、「も」は係助詞(または副助詞ともいう)となっています。格助詞は、このトピックで最初に説明しました。係助詞(副助詞)は、別名「取り立て助詞」として知られています。「取り立て」という意味は、これから「○○のことについて説明します」というように、これから話すことを文中で示すときに使われます。
この係助詞(副助詞)「も」は、一般的な取り立て助詞である「は」に置き換えます。
原文:ビジネスで海外に出張する人は、帰国後は14日間の自宅待機となります。
AI翻訳:Those who travel abroad for business will have to wait at home for 14 days after returning to Japan.

こうすれば、自然な表現になります。
取り立て助詞である「は」は、当然のことながら、係助詞(副助詞)です。「は」は主語につく格助詞だと思われていた方も、いらっしゃると思います。このところは、外国人の日本語学習者を悩ませるポイントにもなっているようです。

格助詞「に」「へ」「と」について – ご投稿にお応えします [2022.3]

格助詞、「に」「へ」「と」についてのご投稿をいただきました。今回は、「に」「へ」「と」の役割について皆さまと情報を共有したいと思います。

投稿の概要(内容を加工してあります)

「に」は「へ」や「と」と使い分けがむずかしいです。

  1. ベルギー行く
  2. 2.1 ノイハウスヴィタメールレオニダス
    2.2 ベルギーチョコ明け暮れた2020年

1.は「ベルギー『へ』行く」と言い換えられます。2.は「ノイハウス『と』ヴィタメール『と』レオニダス!」に言い換えられます。しかし、ニュアンスが違うような気がします。2.については、
2.1 ノイハウスヴィタメールレオニダス
とは言いづらいような気がします。それに、
2.2 ベルギーチョコ明け暮れた2020年
とは言えません。助詞「に」の翻訳に関連した話題がありましたらお願いしたいところです。

「に」は「へ」や「と」と使い分けがむずかしいというお話は、じゅうぶん納得できます。特に、「に」と「へ」は、どちらを使うべきか大きく迷ったりします。

■「に」と「へ」

ご指摘のとおり、方向を表す格助詞の「に」と「へ」は言い換えることができます。ただし、ちょっとニュアンスが違ってくることを意識すべきです。「に」と「へ」の違いは、以下のとおりです。
「に」: 特定の目的地→動作の到達点を表す
「へ」: (だいたいの)方向を表す
「に」が到達点や特定の場所を示すのに対して、「へ」は、元々、「あたり」を意味する名詞の「辺」(=中心から離れたところ)から、転じて付属語(助詞)になったものです。したがって、両者ではニュアンスが異なることがあります。
[例] 
遠くに行きたい → 遠くの特定の場所。ある場所がイメージされていることが多いようです。
遠くへ行きたい → 遠いところ。極端に言えば、遠ければどこでもいいという感じです。テレビのバラエティ長寿番組のタイトルにもなっていますね。その番組は、日本全国どこにでも出かける旅番組なので、「へ」のほうがしっくりきますね。
[例]
おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。
→ 「山に/川に」であれば、日常的に行っている特定の場所(山/川)が想起されます。
このことを英語に置き換えると、以下のとおりになります:
山へ/川へ = a mountain / a river
山に/川に = the mountain / the river
この点を峻別できるAI翻訳には、さすがに、お目にかかったことはありません。
原文:おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。
AI翻訳1:The grandfather went to the mountains to mow the grass, and the grandmother went to the river to do the laundry.
AI翻訳2:The old man went to the mountain to cut the grass, and the old woman to the river to wash the clothes.

■「に」と「と」

両者ともに項目を列挙するときに使用します。したがって、「並列」のときは、たがいに言い換えることができます。
2.1 ノイハウスヴィタメールレオニダス
2.1’ ノイハウスヴィタメールレオニダス
このケースの「と」に違和感を持たれるかもしれませんが、このような言い方もよく使われます。
ところが、
2.2 ベルギーチョコ明け暮れた2020年
おっしゃるように、このような言い方はできません。このケースの「に」は、「並列」ではなくほかの意味で使われているからです。
格助詞、「に」と「と」は以下のようなことを表すときに使用します。
「に」:到達点、場所、時、結果、対象、行為の対象(人)、適用の範囲
「と」:相手、一緒に、比較、変化、引用、内容
「2.2 ベルギーチョコ明け暮れた2020年」の「に」は、「対象」や「適用の範囲」を示します。
「ベルギーチョコ明け暮れた2020年」という表現は論外ですが、「ベルギーチョコ明け暮れた2020年」という「に」を使った表現も、翻訳者やMTにとっては、あまり適切なものであるとは言えません。もちろん、翻訳者であれば、その意味を理解できますので、問題なく翻訳できるでしょう。しかし、一瞬でも「どのように言い換えようか」と翻訳者に考えさせるのではいけません。
原文:ベルギーチョコに明け暮れた2020年
AI翻訳:2020 after the Belgian chocolate ???
このように、AI翻訳は「に」の役割を理解できていません。そこで、AI翻訳に適切に翻訳してもらうために、言い換えを考える必要があります。
原文:ベルギーチョコを食べ歩き、堪能しきった2020年
AI翻訳:2020 when I enjoyed eating Belgian chocolate

ビジネスに使用される翻訳の原文は、翻訳者がそのまますぐに翻訳できるものにすべきです。翻訳者に言い換えを考えさせて、翻訳者の時間を無駄に費やさせるものは良くありません。ここが、文学作品の翻訳との大きな違いです。文学作品は、複数の解釈を許容するものもあります。それに対して、ビジネス文は一文一義であり、直ちに他言語に置き換えられるべきものです。ビジネス文を書くときは、「国際共通語」ということを意識すべきです。
「並列」の「と」が出たついでに、副(並立)助詞の 「と」「や」「か」についてもご説明を加えておきます。

■ 副(並立)助詞の 「と」「や」「か」を使い分ける

「と」クローズド付加 それ以外に無い場合
「や」オープン付加 それ以外にもある場合
「か」選択
原文:ネジとスペーサーを使って、器具を取り付けます。
AI翻訳:Use the screws and spacers to attach the instrument.
原文:ネジやスペーサーを使って、器具を取り付けます。
AI翻訳:Use screws and spacers to attach the fixture.

原文の格助詞が「と」のほうでは、定冠詞が使われています。それに対して、「や」のほうでは、冠詞が使用されていません。このAI翻訳では、副(並立)助詞の「と」と「や」を識別できています。このように、AI翻訳でも副(並立)助詞の「と」と「や」を識別するものもあります。これは、少々驚きです。ほかのAI翻訳では、こういった細かな違いには気づけませんでした。

■「AとBかC」=A and B or Cの表現に注意する

曖昧になりやすい並立の端的な例として、「と」と「か」を使用する文、「AとBかC」=A and B or Cという表現があります。この表現をすると、以下のように複数の解釈ができるようになります。
・AとB
・AとC
・(AとB)かC
これは、日本文でも英文でも同様です。どうやら、これは言語を問わず、翻訳のときに曖昧になりやすい問題のようです。翻訳時には注意が必要です。私が現在ISOで進めている世界中の言語共通のライティングルールにもこの点の注意を喚起しています。

お問い合わせ

お気軽にお問い合わせください。
※株式会社情報システムエンジニアリングよりご案内させていただきます。

*)セールスに関してご返信はいたしませんので、あらかじめご了承ください。

個人情報の取り扱いについて

  • URLをコピーしました!
目次