日本文の論理性と固有名詞 ~ 翻訳品質を考える前に ~

この二年間ほどMT翻訳のコラムを進めてきました。今回は、MT翻訳活用のポイントのおさらいをしたいと思います。

日本文の論理性と固有名詞(用語)

 英文は、論理のつながりで表現しますので、日本文ではあまり気にならないような非論理的な文や論理が飛躍した文を、英語に翻訳すると文が行き詰ってしまいます。MT翻訳では、おかしな英文となって表れますし、固有名詞を誤訳すると、伝えたい内容の誤りが生じます。
 MT翻訳を活用するために心がけるべきことは、論理性と固有名詞(用語)です。このポイントさえ押さえておけば、MT翻訳はあなたにとって便利なツールになります。固有名詞は用語集を作ってそれぞれの用語の対訳を準備しておくことで対応します。

 用語集がないことが引き起こしたと思われる事例をひとつ紹介します。以前、アメリカのFBIのトップページの「Most wanted (指名手配中)」が日本語では「募集中」になっていました。MT翻訳の失敗の笑える原因は固有名詞の誤訳によるものです。ここでは固有名詞と書きましたが、一般名詞や特定の目的で使う動詞なども考慮に入れる必要があります。
 この論理性と固有名詞(用語)の問題は、とても重要です。もちろん、この2種類の問題を生じないように対処しておけば、どういった分野であってもそれなりの翻訳は得られるものです。特に特定分野での翻訳であれば、良い結果が得られます。逆に対象を絞らない場合は、MT翻訳であっても良い翻訳結果は得られません。“Time flies like an arrow.”の例でおわかりのように、同綴異義語や品詞の文法的な解釈の可能性が広くなり過ぎるためです。

同綴異義語:「どうてついぎご」と読みます。同じつづりで、意味の異なる用語という意味です。たとえば、flyは蠅という名詞であったり、飛ぶという動詞であったりします。

<参考>
文を短くすれば、翻訳しやすくなりますか? – Time flies like an arrow.の例を紹介

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