AI翻訳は、教師データで学習したことを元に翻訳結果を出力します。教師データに自社の翻訳資産を活用することで、自社の製品名や部品名が適切に適用された翻訳結果を得られるようになり、汎用型のAI翻訳エンジンに比較して、翻訳品質が向上します。翻訳品質が向上することで、翻訳結果の修正作業を軽減でき、作業効率の向上も期待できます。
AI翻訳を構築するための学習データは重要
翻訳品質を向上させるためのポイントは、自社専用のAI翻訳を構築するために使用するAI学習用の教師データと、翻訳元となる執筆する原文との類似性が高いことです。教師データには無い形式の記述や、似て非なる記述が原文にある場合など、教師データと乖離する場合には、学習効果が現れにくくなります。AI翻訳を活用したい分野を網羅する学習データを取り揃えることが重要です。
既存の翻訳メモリ(TM:Translation Memory)を教師データに活用する場合は、似て非なるデータの削除や、公開したドキュメントに使用した対訳データのみを使用するなど、データのクリーンナップを行うことが重要です。
意図した翻訳結果が得られなかった箇所は、修正内容を追加学習することで、意図した翻訳が得られるようにします。学習を積み重ねることで、翻訳後の修正作業を軽減していきます。
翻訳前に翻訳元の表現チェックを忘れずに
AI翻訳の翻訳品質に大きな影響を及ぼすのが、AI翻訳の入力情報である翻訳元です。自社専用の翻訳エンジンを構築しても、翻訳元に誤字や脱字ある場合や、修飾関係があいまいな表現等があると、AI翻訳は混乱し、意図した翻訳結果が得られません。翻訳元のゆれは、訳文のゆれにもつながり、翻訳結果の修正作業が増加する要因にもなり得ますので、翻訳元の表現チェックは重要です。
翻訳元を正しく記述することは重要ですが、執筆者の疲労も重なればチェック作業に個人差も発生しかねず、個々人のスキルに依存するだけでは、品質向上の達成は難しいのかもしれません。そこで、ライティング時や、校正時に自社の表現や用語の使用をチェックするツールの活用が有効です。
ジャストシステム社のJust Right!には、自社独自に校正用の辞書を作成する機能や、表現のルールをチェックする表記ゆれ辞書やルール辞書機能がありますので、翻訳元に自社の製品名や部品名が正しく使用されているか、自社の制作ガイドラインに則っているかをすぐに確認できます。ライティング時にATOKも活用すれば、辞書を共通化してライティング時点で正しい用語を使用しているを確認しながら執筆できます。
Just Right!やATOKの活用で、チェックしたい時にその場で確認できるので、他の人への依頼を軽減し、チェック時間の短縮化を図りながら、品質向上が期待できます。ガイドラインの内容を全て把握しなくてもツールでチェックできるので、新たな担当者が着任した場合にも、トレーニング負荷を軽減できます。
自社専用の翻訳エンジンの構築とJust Righgt!の活用で翻訳作業の効率化を実現
自社ガイドラインに則って制作された公開済みの自社ドキュメントから、自社専用のAI翻訳エンジンを構築し、執筆中のドキュメントは、ガイドラインに則っているかを翻訳前にJust Right!でチェックする作業の流れを以下に示します。