【米国発】AIの力:機械翻訳は人の翻訳者に取って代わるものですか?

いいえ。機械翻訳が人の翻訳者に取って代わることはありません。むしろ、機械翻訳ソフトウェアが進歩するにつれて、翻訳に携わる翻訳者の必要性が高まっています。今回は、AIベースの機械翻訳でさえ人の翻訳に取って代わることができない理由を探ります。

なぜ、機械翻訳が人の翻訳者に取って代われないのでしょうか。

 シンプルな文でアイディア等をストレートに表現してコミュニケーションを取る限りは、機械翻訳の精度は高くなります。しかし、新しい単語や隠語、イディオム、略語、および俗語が出現すると、機械翻訳は問題に遭遇します。

主なトピック:機械翻訳が遭遇する問題の例
新しい単語
隠語
イディオム
略語
俗語

新しい単語

 言葉は創造性と成長と共に進化しています。私達は皆、何らかの考えをもって人々と会話をしており、その考えを説明するためにいくつかの言葉をぎゅっと重ねて表現したりします。そんな言葉の例を以下に挙げます。

  • Camcorder (camera + recorder)
  • Smog (smoke + fog)
  • Frenemy (friend + enemy)
  • Carjack (car + hijack)  

 今では当たり前のように思われるかもしれませんが、それらはすべて以前には使われていなかった新しい単語の組み合わせとして始まりました。人は、最初の会話の文脈から新しい単語が何を意味するのか、それがどのように使われているのか、そして話し手が何を言おうとしているのかを理解できます。
 しかし、機械翻訳は新しい単語の文脈を理解する処理能力を持ち合わせていません。どうやって意味付けるか、その意味を別の言語にどう翻訳したらよいのか、分からないでしょう。 日常の翻訳対象の記述で、新しい言葉が常に次々と生み出されているわけではないとしても、言語は進化を続け、新しい言葉は生まれていきます。
 機械翻訳が初めて遭遇する単語を発見した場合に、どのような状況になるのか想像してみます。初めて遭遇するので、その言葉の意味がわかりません。何かの誤字なのか、これまでに学習した単語や記述に近いものから、結果を導くことになります。機械翻訳は、確立された一連のルールとアルゴリズムに基づいて変換を行います。 しかし、新しい言葉に遭遇したとき、それを翻訳するために必要なコンテキストを持っていません。

隠語

 隠語は隠れた意味を暗示したり隠された意味を伝えたり、一般的には公然と言うことが失礼にあたったり、または無礼になる何かの意味を和らげるために使われます。これは、両方の言語共通に存在しない可能性があり、意味を理解するために機械翻訳が正確に翻訳することが複雑になる可能性があります。機械翻訳は、テキストが表面レベルの意味を参照しているのか、もっと深いものを参照しているのかを決定しなければなりません。 また、隠語の意味を理解するだけではなく、同じ意味と曖昧さのレベルが共有できる正しい単語や語句を正確に特定するという追加のタスクが要求されることになります。

イディオム

 イディオムとは、文字通りの意味とは異なる意味合いを持つ単語のグループです。これらの表現は各言語に固有であるため、機械翻訳はイディオムを翻訳するのに苦労します。英語では、「体調がすぐれない」「調子が悪い」という意味の表現をするときに、「under the weather」と言いますが、このフレーズは他の言語では本当の意図が伝わりません。
 他の言語から英語への翻訳も同じ問題に直面します。例えば、スペイン語で「encontrar tu media naranja」という表現があります。これは直訳では「あなたのオレンジの半分を見つける」という意味になります。 しかし、このフレーズは、フルーツのことを言っているわけではなく、人生の愛を見つけることを言っています。

略語

 デジタル時代とソーシャルメディアのおかげで、私たちはますます多くの略語を作成しています。「LOL」や「thx」などの略語を使うのが一般的になり、ハッシュタグは略して少ない文字にします。
 略語の問題は、略語がしばしば複数の意味を持ち、非常に異なる意味を持つ場合があることです。機械翻訳が「BLM」を翻訳する場合は、「Black Lives Matter」と翻訳するか、「Bureau of Land Management(土地管理局)」と翻訳するかを決定する必要があります。
 人間にとっては、ワイオミング州の荒野でトレイルヘッドのメンテナンスに関するコンテンツが土地管理局を参照することはコンテキストの手がかりから明らかですが、機械翻訳にとっては明確ではありません。これは、野生の馬やロバの生息数を取り扱っている話題なのに、ブラックライブスマターについて語るなどの翻訳ミスにつながる可能性があります。

俗語

 フォーマルな英語とカジュアルな会話英語の間には大きな違いがあります。機械翻訳は、英語の会話を理解するのに苦労します。これは、形式的な英語を規定する規則の多くが忘れられ、俗語に置き換えられるためです。口語表現は地域の違いによっても異なります。標準的な表現から乖離が大きくなるほど、機械翻訳が正確に翻訳するのはさらに難しくなります。

翻訳作業を効率よく進める環境の構築

 機械翻訳は人の翻訳者の代わりにはなりません …しかし、機械翻訳は、人の翻訳者と共に一緒に使用することで多くの時間とコストを節約できる重要なツールとなります。機械翻訳が翻訳を迅速に処理し、翻訳者はエラーを解消できます。
 SYSTRANはニューラル機械翻訳を採用しており、政府機関やグローバル企業など、多くのお客様にご採用を頂いている機械翻訳ソフトウェアです。人の翻訳作業を支援するツールとして活用いただくことで、成長し、間違いから学ぶ能力を持っています。SYSTRANのAIを活用した機械翻訳ソフトウェアと貴社の翻訳チームを組み合わせ、迅速かつ正確な翻訳を提供する方法について、検討を進めませんか。今すぐお問い合わせください。 

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