前回は、生成AIを活用して、AI翻訳しやすい日本文を簡単につくることを試してみました。(前回記事はこちら)今回は、取説に使用されそうな表現を対象に、どのようにチェックしてくれるのか試してみます。
AI翻訳しやすい日本文にするためにどんな修正案が示されるでしょうか。使用した生成AIは、GoogleのGemini (1.5 Pro)です。
例文1:本書に記載された手順に基づいて操作してください。
この文には、どのような修正文が示されたでしょうか。
生成AIが出力した内容をそのまま書きましたが、そういうものなのか?と、少々疑問もありますが次に続けます。
例文2:小さなお子様の手の届かないところに保管するようご注意ください。
この文には、どのような修正指摘がされたでしょうか。
見慣れているような文でも、AI翻訳しやすいという観点では、見直しできるポイントがありそうです。
AI翻訳しやすい日本語変換した例
正解が一つということではないと考えていますが、生成AIが示したAI翻訳しやすい日本語変換の例をご紹介します。
例文:
- 感電のおそれがありますので、分解しないでください。
- 電源を入れたまま、本体を移動させないでください。
- 落下させると、故障する恐れがあります。
- 本製品を直射日光の当たらない場所に設置するようにしてください。
慣用表現の修正にチャレンジ
取説には使用しない表現かと思いますが、慣用的な表現をチェックしてみました。
【例文】
・今日は腹を割って話そうじゃないか。
・彼は顔が広いから、良い仕事を紹介してくれるかもしれない。
・若手社員が、部長に胸を貸してほしいと申し出た。
・この会社に骨を埋めるつもりで頑張ります。
・君の言葉は耳が痛いけど、真実だと思う。
まとめ
ご紹介した修正文は、AI翻訳しやすい文に変換することを指示したものです。取説として評価する場合は、別の観点での指摘が必要となる場合もあるのかと思います。また、生成AIが作り出す原文に対する修正案は、チェックをかけるたびに、必ずしも同じ回答にはならないということにも注意が必要です。慣用表現の修正チャレンジの結果では、伝えたい意図を汲み取った変換が行われていることが確認できました。
今回の検証や、前回の一般的な文章チェックの結果を振り返ってみると、取説のチェックではなく、一般的な文書、たとえば海外の担当者宛のメールを作成する際に、日本語で記述したものを英訳する前に、生成AIでチェックするというような使い方の方が適しているのかもしれませんね。
次回は、どのようにして検証を進めたのかご紹介します。チェックをするたびに毎回、生成AIに対して、指示文と例文を入力するのは手間でしたので生成AIをカスタムしてチェックしています。検証に使用したGoogle Geminiでは、Gemマネージャーという機能があり、これを利用すると、例文を入れただけで、結果だけを出力するようにできます。次回は、AI翻訳しやすい日本文にするために、どんな指示を入力をしたのかなども含め、Gemマネージャーについてご紹介します。